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女性のリーダーシップを開花させる 「MBA Essentials 2018<プロフェッショナルコース>内田塾~ビジネス実践講座 for Women」最終プレゼンテーションを開催

早稲田大学ビジネススクールでは、MBA教育のエッセンスを体験できる「MBA Essentials」を、日経ビジネススクールと共同開講しています。2018年は13のプログラムが開講された「MBA Essentials」から今回ご紹介するのは、「<プロフェッショナルコース>内田塾~ビジネス実践講座 for Women」(以下、「内田塾」)。リーダー志向のビジネスウーマン向けに開発された講座で、今年で5年目を迎えます。

本講座を担当するのは、ボストンコンサルティンググループ日本代表の経歴を持つ早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授。企業が抱える現実の課題をケーススタディとして設定し、女性ならではの視点から問題解決方法を考えるビジネス講座です。

今年度は、株式会社ローソンから、都市部を中心に展開するナチュラルローソンに関する課題をご提供いただきました。受講生はナチュラルローソンが実際に抱える課題の現状分析をした上で、グループワークのテーマを決定。さらに、その問題点を整理して解決策を見出し、最終的にプレゼンテーションを行なうという、18時間に及ぶカリキュラムが組まれました。

講座最終回となった2018年10月27日には、ローソンの担当者様にもご出席いただき、最終プレゼンテーションが実施されました。女性ばかりの受講生が取り組んできたグループワークの成果が発表された白熱の模様を一部抜粋しながら、内田塾を紹介します。

 

|等身大の“ワーママ目線”を生かした提案が高評価に


今年度の「内田塾」の参加者はあわせて40名。A〜Fの6つのグループごとにプレゼンテーションが実施された中で、最終的に、ナチュラルローソン賞、内田先生賞、受講生間投票の3冠を飾ったのは、Fチームでした。

Fチームのメインテーマは、「私の心踊るコンビニ」。独自の顧客アンケートを踏まえ、ナチュラルローソンに対して「リフレッシュできる」「楽しい」「わくわくする」といったポジティブなイメージを持つ20%の層が存在することに着目。そのイメージの他の顧客層への浸透を目指し、30〜40代のワーキングママを新規開拓のターゲットに据えて、各種プロモーションが提案されました。

印象的だったのは、仕事や家事、育児に追われるリアルな“ワーママ”の1日を表した動画です。その上で、Fチームは「ひと息つけるのは昼休みのたった40分」というワーママのために、ほかのコンビニでは味わえない五感で楽しめる“ワクワク・癒し体験”を提案。具体的には、看板やSNSを活用した集客、商品の試食や化粧品テスターサンプルの提供、来客者数が多い時間帯での焼きたてパン、挽きたてコーヒーの販売など様々な提案が挙げられました。

この提案に対してローソンのご担当者様から、「しっかりアンケートでの事実を提示していただいて説得力があり、素晴らしいプレゼンでした。フランチャイズチェーン店もあるので全店での統一は難しいですが、一方向のSNS活用ではなく、お客様から拡散するSNS活用のアイデアは取り入れられるかもしれません。顧客に店舗を五感で感じていただき、視覚から入って味覚に繋げていく流れは非常に参考になりました」と高い評価を得ました。

 

|売れ筋商品・おにぎりを3サイズで展開することを提案

ナチュラルローソン賞と受講生間投票で2位、内田先生賞で3位という好成績を修めたのは、Eチーム。ナチュラルローソンのあるべき姿を「健康的」「便利」と定め、ブランド戦略の改善と向上を目指し、健康機能別の商品配置と、売上の上位20%を占めるオリジナル商品の改善などを提案しました。

店舗の現在の棚割は「ナチュラルローソンの強みである健康的な商品の良さを伝えきれていない」と指摘し、ローソンが打ち出す「10の健康テーマ」に着目。10の健康テーマを基準に、商品に栄養成分を記載、それに応じた商品の配置を提案しました。また、商品開発についても、看板商品「ギッフェリ」を季節や健康テーマに合わせてバリエーション展開することや、売れ筋商品であるおにぎりをお腹の空き具合やその時の体調管理に合わせて小腹盛り、ふつう盛り、しっかり盛りで選べるようにする具体的なアイデアも発表されました。

最後に、唯一無二の「心も体も満たされる」コンビニへ進化させるために、「F:フィット」(美容、筋トレ、フィットネス)、「C:ケア」(自分へのごほうび)、「B:ビーイング」(ありのままの自分)、「E:エッセンシャル」(毎日の必須アイテム)を新たなコンセプトとして掲げてプレゼンテーションを締めくくりました。

Eチームのプレゼンテーションに対して、ローソンのご担当者様は、以前、専門家のアドバイスを得て、薄さ半分のおにぎりの開発に着手したことがあったが実現化しなかったという経緯が紹介され、「商品の提案がおもしろかった」と感想を語りました。

 

|全チームのプレゼンを終えて

その他のチームからは、ナチュラルローソンでの健康イメージを象徴するスムージーの販売、イートインスペースを女性向けの“ちょい飲み”スペースにするというアイデアも。女性目線での「こんなのがあったらいいな」という新しいアイデアが次々と飛び出し、聞いているだけでも多くの刺激を受けるプレゼンテーションでした。

企画をまとめるにあたり、ほとんどのチームが店舗の視察をしていた点について、内田教授は「足で稼いできたことが伝わってくるプレゼンが多かった」と評価し、相手の心に届くプレゼンについて、次のように講評を述べました。

「実際のビジネスの現場では、社内の上層部や顧客を説得するのは難しいものです。若手や中堅層がありふれた調査に基づいたプレゼンテーションをしても相手の心は動きません。そんな時、足で稼いだ調査と肌感覚の情報こそ、説得力のある情報となり得るのです。みなさんの場合で言えば、『働く女性はこうなのです』『ワーキングママはこうなのです』という肌感覚を武器として意識することで、特に上層部にとっては普段は直接感じることのない新鮮な提案と受け取ることでしょう。
次に、プレゼンテーションの対象を十分理解することが大切です。相手はどういうポジションの人なのか、目的は何なのか、どのような思考パターンを持っているのか、把握する必要があります。その上で、相手がワクワクドキドキするようなプレゼンテーションができたのであれば、こちらの勝ちなのです。」

出席いただいたナチュラルローソン事業推進部ナチュラルローソン支店 支店長の松永英美子さんからは、今回、課題提供のオファーを受けた経緯と受講生のプレゼンを聞いた感想について、次のようなコメントをいただきました。

「受講生が主要顧客層と合致していたため、いろいろなご意見が聞ける良い機会だと考え、参加させていただきました。様々な女性の意見やアイデアを聞くことができて非常に参考になりました。特にワーキングママが実際にどんな生活をしているか、生の声を聞くことができたことが強く印象に残りました。」


株式会社ローソンナチュラルローソン事業推進部のみなさん(中央3名)

最終プレゼンを終えたばかりの受講生に直撃し、次のようなコメントをいただきました。

ある受講生は、同講座を受講したきっかけとグループワークで得た学びについて、次のように振り返ります。

「新事業開発の仕事をしていて、仕事に生かしたいと思い、受講しました。それから、内田先生の本を個人的に好きで読んでいたこともあり、座学だけでなく、実践型のグループワークを社外の人としてみたかったという思いもあります。実際に社外のさまざまな人と課題を共有し、自分の思いつかなかったこと、触発されて出てくるアイデアがあって、正に知と知の摩擦で起きるようなイノベーションに刺激を受けました」(受講生・Aさん)

また、中には、上司のすすめで同講座に参加したという人、社内でも講義の様子を共有しているという受講生も何人か見られました。

「新商品開発の仕事を担当することになり、上司の勧めで受講することにしたのですが、アイデア出しの方法や提案、分析の仕方について深く学ぶことができました。女性だけのクループワークでひとつの目標を達成し、会社ではなかなか体験する機会のないプレゼンの場が持てたのは貴重でした」(受講生・Bさん)

「思っていた以上に内容が濃くて課題をこなすのは本当に大変でしたが、課題解決のストーリー構成を必死で考える演習を通じ、今後仕事を続けていく上で、血や肉となったと実感しています。期待通りの実りの多い内容だったので、自社でも拡散しています」(受講生・Cさん)

 

|「内田塾」から、組織でリーダーシップをとれる女性を輩出

7月28日から始まり、今回のプレゼンテーションを含め4回にわたる実践的な学びの場となった「MBA Essentials 2018<プロフェッショナルコース>内田塾~ビジネス実践講座 for Women」。各チームのプレゼン終了後には、他チームから意図やコンセプト、調査の仕方についての鋭い質問が積極的に出され、緊張する場面さえありました。

異業種の女性が集まってチームを作り、実際の企業の課題やテーマを共有し、ビジネスパーソンにプレゼンする経験は、実社会では得難い体験です。「大事なことは、ノウハウを教えること以上に、こうした場を作ること」と語る内田教授に、女性だけのビジネス講座を実施する意義について伺いました。受講生は20〜50歳代の働く女性たち。実は以前、女性だけで開催することに意味があるのか、教授自身が自問自答した経緯があると言います。

「一期生OGの『基本的に日本の社会は男性中心に回っているので、普段、女性は男性の補佐役や調整役といった役に回りがち。だからこそ、女性しかいない場面では、誰かがリーダーになったり、自ら旗振り役をしたりしなければならなくなります。そうした体験ができたことが内田塾を受講した最大の収穫でしたと。』という言葉を聞いて、それならばやる意義があるなと感じました。

これからも内田塾を通じて、自ら組織でリーダーシップを発揮できるような女性を輩出できることを願っています。受講生の中には、こうしたグループワークに慣れていない人もたくさん参加しています。そのような方も含め、これまでの仕事の枠組みを超えて多くの方と刺激し合い、新たな経験を積むためのチャレンジの場になればと考えています」

日常の仕事とは別に、異なるジャンルのメンバーとともに課題を共有し、意見をひとつにまとめる作業は容易ではないと推測します。大変だった分、実践を通じて力がついたことを参加されたみなさんが実感しているようです。内田塾で学んだ女性たちが、実社会においてリーダーシップを発揮する、今後の活躍が楽しみです。

◆MBA Essentialsの詳細は、下記URLからご参照ください。
https://school.nikkei.co.jp/special/mba_wbs/

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